似て非なる!?鄭成功と和藤内
今年、ご縁のあった歴史上のヒーローに、鄭成功(ていせいこう)がいます。
17世紀にオランダの支配を受けていた台湾を解放したことで知られる軍事家であり政治家👍
中国人の友人いわく「台湾を西洋支配から解放して、中国に取り戻した英雄✨」として、「中国人なら知らない人はいない❗」。
こう断言するほどの圧倒的な知名度です。
近松門左衛門の『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』を調べるまでは、ほぼ知らなかった私💦
自分の不勉強を棚に上げて、日本と中国の温度差を感じるわけです。
遅ればせながら、ザックリとおさらいをすると、鄭成功の父(鄭芝龍)は清国に敗れた明国の重臣。
日本に亡命し、そこで巡り合った日本人女性との間に息子👶をもうけます。
時は1624年、生誕地は長崎県平戸、幼名は福松。
その後、明へ戻った父は海運王となり、平戸出身の母も豪商の家系ですから、かなりセレブな御曹司💕
幼くして中国へと渡り、最高学府の教育を受けた成績優秀なインテリです。
頭脳明晰にして初志貫徹の御曹司は、明国の再興に尽くし、その功績から明王と同じ「朱」の姓と「成功」を名乗ることを許されて「国姓爺鄭成功」となりました。
後の歴史が証明するように、清国討伐こそ叶いませんでしたが、オランダ統治の台湾を解放し、その翌年に病没。まだ39歳という若さです。
このあたり、日中合作映画『英雄~国姓爺合戦』🎬で知ることができます。
鄭成功役は、カンフー映画でおなじみのチウ・マンチェク。
キレッキレのアクションで、文武両道の人間的なヒーローを演じています。
一方、近松門左衛門の『国性爺合戦』は、鄭成功をモデルにしたオリジナル作品。
主人公の幼名は「和藤内(わとうない)」とされ、「和(日本)でも唐でもない」という近松らしいシャレ言葉による命名とか。
キャラクターイメージも、野生の虎🐯と素手で格闘する愛すべきマッチョヒーロー💪です。
ハラハラドキドキの『千里が竹の虎🐯退治』も、悲しく美しい『獅子が城の紅流し』も、稀代の天才脚本家による発案❗
広大な国土、悠久の歴史、絢爛たる文化を持つ中国への憧憬を下敷きに、小国ながらも信心、忠義に厚い日本人のプライドと心意気をくすぐる演出を散りばめた『国性爺合戦』は、満員御礼の大ヒット👌
3年にも及ぶロングラン上演となり、人形浄瑠璃だけでなく歌舞伎の演目にもなりました。
とりわけ評判の千里が竹の虎🐯退治は、日本全国で祭礼の行事となったり、「虎拳」というお座敷遊びにまで発展したり。
元禄エンターテインメントの面目躍如の拡散ぶりです。
虎拳って、「和藤内💪・和藤内の母👵・虎🐯」が登場する、じゃんけんのような遊び。
「和藤内💪は虎🐯に勝ち、虎🐯は和藤内の母👵に勝ち、和藤内の母👵は和藤内💪に勝つ」という三すくみの関係。
元禄時代の日本人は、和藤内が大好きだったんだね💗