紅の茶が一番人気?
国姓爺合戦の中でも、虎狩りと並んで人気の高い『紅流し~獅子が城の段』。
舞台も竹林や虎退治の野外戦から、華やかな獅子が城へと展開します。
主人公の鄭成功は、清に滅ぼされた父の祖国である明を復興するために、中国へと渡りました。
ところが、鄭成功の腹違いの姉である錦祥女は、敵将である甘輝の妻となっている運命の皮肉。
はじめて会った姉に「味方になってくれるように夫を説得してくれ」という無茶ぶりです!
「説得が成功すれば白粉(おしろい)を、失敗すれば紅粉(べに)を流す」という姉弟の約束の合図は、
「南無三宝(なむさん)、紅が流るる」と、説得失敗の結末となるわけです。
舞台は美しいですが、話の内容はかなりややこしい。
説明すればするほど、話はどんどん複雑になってしまいます。
というわけで、この際「白か紅か」に的を絞って、茶も『白琳紅茶』となりました。
正式には『白琳工夫紅茶』という福建省の紅茶。
実は、会場にいらしたお客様の何人かに、「このお茶が飲めるなんて!」といわれました。
福建省の紅茶の三大工夫紅茶の1つといわれ、福鼎県太姥山白琳で作られるお茶。
歴史が古く、本来は小葉種で作るお茶だったようですが、福鼎大白茶種が開発されてからは、この品種を一芯一~二葉で摘んで作られるようになったとか。
産毛の金毫が混ざった茶葉は、琥珀のようなオレンジがかった紅い水色が美しい。
錦祥女の心根に重なるような華やかで、凛とした味わいのあるお茶でした。