あら?虎の茶のくせに
改めてお茶をいれようと思った続きで、今回のイベントの主役ともいうべき虎の茶をいれてみました。
『虎嘯岩 肉桂』は、「こしょうがん にっけい」と読みます。
福建省の武夷山で採取・製茶される岩茶です。
岩茶は、半発酵ですから烏龍茶の仲間。
武夷山の豊富な養分を宿した茶は、イメージもエネルギッシュで男性的で……
そう、茶葉もそんな感じです。
しかし、「嘯」の字が読めないよね。
「嘯く」となると「うそぶく」と読みます。意味は、とぼけたり、豪語したり。
うなる、吠えるの意味もあり、虎嘯とは、そんな意味かと思ったら、武夷山の九曲渓にある巨大な岩の名前でした!
九曲渓って、川岸には36の岩山が立ち並ぶという武夷山の景勝地。
その中の二曲渓の南にあるらしく、四方が切り立っており、岩の上部に大きな岩穴があるという立地条件が名前の由来のよう。
つまり、風が吹くとまるで虎の咆哮の如く吠えるらしい。
今回の茶藝の演目である『国性爺合戦』は、鄭成功が主人公。
中国・台湾のヒーローですから、ある意味ではイメージにピッタリかと。
実在の鄭成功は、文武に秀でた頭脳明晰な戦略家だったようですが、近松門左衛門は、素手で大虎と格闘するような野放図でマッチョにキャラクターにしています。
茶藝では、荒ぶる虎を鎮魂させて、浄化されたお茶をいれるという趣向でしたが……
今日いれた虎嘯岩も、「あらら、なんとも甘くて芳醇なこと」。
かなりエリートでスマートな虎!
部屋中に甘い香りが拡散して、あの日の舞台のスクリーンを思い出しました。