虎の蓋碗、そして茶道具袋
中国文化センターの茶藝当日。受付前には、茶藝の場面に併せた3種類のお茶を並べました。
『竹の茶、虎の茶、紅の茶』には、茶葉を並べるだけでなく、多少の趣向を凝らしてみました。
竹の茶は、緑茶の『竹葉青』。前日夜からゆっくりと水出しをして、緑のキャップの冷茶ボトルにいれて。茶葉の形状も見ていただきつつ、冷茶ボトルも中の茶葉も竹のよう💗💗💗
虎の茶は『虎哢岩 肉桂』。茶藝のメインとなる『千里が竹の虎狩り』では、唐津の作家である中里太亀さんの蓋碗を虎に見立てました。太亀さんの虎は、蓋碗の蓋を跳ねのける勢いでカチャカチャと大暴れ。実際の『国性爺合戦』では、伊勢神宮のお札で虎を鎮めますが、そこは中国茶藝。茶聖といわれる唐時代の茶人である陸羽が著した『茶経』をもって、荒ぶる虎は鎮まります🐯
受付前の虎の蓋碗は、虎の茶道具袋に収めておきました。茶道具袋も、虎に見立てて、96歳になる私の義母が作ってくれたもの。伊勢神宮のお札のごとき霊力で、虎はおとなしく包まれていました。
おばあちゃん、ありがとう🌸🌸🌸🌸🌸
最後は『獅子が城紅流しの段』の紅の茶。姉の夫の将軍が、味方となるか敵となるか。
姉の説得が成功するのか失敗なのか。成功すれば白粉を、失敗すれば紅粉(べに)を、川に流して知らせるという場面です。会場に響く黒衣の口上は、『南無三宝(なむさん)、紅が流るる』。
同時に、獅子が城の堀にも、血のような一筋の紅が流れていきます。
茶藝では、茶人が懐から『白琳紅茶』を包んだ紙包み(つまり紅の茶)を取り出す趣向なので、受付前の飾りにも白と紅の紙包みを2つ並べておきました。お帰りの時には、紅の茶が使われたという意味で、紙包みは白1つになっているという……絶対に誰も気づかない仕掛けです(笑)
芝居小屋にいるような世界観を楽しんでいただきたい今回の茶藝でしたが、日本人のお客様だけでなく、中国の方々にも喜んでいただけて嬉しかったです💛